top of page

RECENT POSTS: 

白鳥は哀しからずや

  • 執筆者の写真: minus888
    minus888
  • 2017年3月22日
  • 読了時間: 2分

昨夜はやたらと腹が痛くて吐き気がして、厄介な気分だった。雨のさなかに、総武線は轢死で止まって、私は帰路のアテもなく、仕様がないので実家へ行って、夜中に帰った。

今朝は目が覚めたら昼前だし、仕事は瑣末な事務が山積みだしで、右往左往している。

昨日は過去の給与明細とか出勤簿を引っ張り出す作業に追われた。四月からは保険のことも考えなくてはいけない。

ふとした時に、学者になんかなりたくない、と思う。

学生の頃から思っていた。学者になんかなりたくない。頭も回るし弁も立つ、文書を書かせりゃ賞を取る。正論緻密の筆記ぶり。お前のそれは天性の、弁論演説の授かりもの。正しいことを言へば勿論、出鱈目出任せを言ったとて、毅然と前見て言い切れば、大抵の愚図は騙される。世のため役に立つならば、末は弁護士、政治家か、若しくは論文屋がいいと、母も父もさう云った。祖父母も教師も唇に、笑みを浮かべて梨のよな、私の頭を撫でくった。当の私は茫洋として、浮世のことなど気に留めず、海の絵ばかり眺めては、白鳥は哀しからずやと口ずさみぬ。そのうち教師は呆れ果て、お前に大学は無理だとて、諦め吐息を噛み殺し、諦めないのは親ばかり。

学者になんかなりたくないと、もとより成りたいと思わずに、二十四まで過ごしてふと、明日どうして飯を食おうと。君は学者に向いてると、今度は友が肩に触れ、思へば逆だ、私には、その他なんにもないのだと、口先三寸ことわりの、寄木細工のからくり箱。安定もなければ大成も、約束される訳でなし、えらい先生にしがみ付き、掃除洗濯酒の酌、金など二の次三の次、どうぞ私に学問で生きる道をくださいと、そんな生き方を誰が望んだ。私はそんなの必要ない、私はただただ、青い鳥でいたかった。海の青と空の青、そのあわいの果ての果て、誰にも見られず振り向かれず、するりと融けて、いなくなる、青く青く透明な、羽毛の翼が欲しかった。海の空の果ての果て、そこに何があるのかと、力の限り飛び続ける、陸の宛ても食う宛ても、それでも白く飛び続ける。そんな風に、飛ぶ気なぞ、勇気も覚悟も何もかも、私はひとつも持たぬのだ。(韻を踏むのは楽しい)

昼休みに抜け出して、両親とすこしいい牛肉を食べた。御茶ノ水の聖橋口の方にある、古書店の向かいの道をひたすら真っ直ぐ行って、駿台予備校や日大や、三井海上のビルを横切り、突き当りの少し左にある小道に入るとある店で、安くはないけれど、内装がいい。

それにつけても、このまま明日が来なければいいのだ。


 
 
 

コメント


bottom of page